「部屋は気に入ったけれど、住み始めてから不便なことに気づいた……」
賃貸の内見では、部屋の見た目や間取りだけで判断してしまうと、入居後に「ここも見ておけばよかった」と感じることがあります。
私はこれまで不動産営業として多くの部屋探しをお手伝いしてきましたが、満足度の高い部屋選びをする方ほど、内見時に見るポイントをある程度決めていました。
とはいえ、誰でもまず気になるのは、
- 家具や家電が入るか
- ベッドやソファをどこに置くか
- 冷蔵庫や洗濯機のサイズが合うか
といった「採寸」と「家具配置」です。
もちろん、ここは非常に重要です。
ただ、採寸に集中するあまり、意外と見落とされやすいポイントもあります。
この記事では、不動産営業の視点から、採寸以外で内見時に確認しておきたい20のポイントを紹介します。
ちなみに20 項目というと何だか多く感じますが、一つひとつはどれも時間をかけるものではないので、さくさくとチェックしていきましょう。
内見は『見る順番』を決めておくと失敗しにくい
時間をいくらでもかけて内見できるのであれば話は別ですが、実際の部屋探しではそうはいきません。
県外から部屋を探しに来ていたり、「今月中には決めたい」と期限があったり、1日に複数の物件を回ったりすることも多いでしょう。
複数の物件を見る場合は、物件間の移動時間もかかります。
1件目からじっくり見すぎてしまい、最後の物件になる頃には時間が足りなくなってしまうことも珍しくありません。
不動産会社側にも、その後に別のお客様の案内予定が入っていることがあります。
もちろん間取りや状況によって変わりますが、1物件あたり20〜30分程度で見ることを想定しておくと進めやすいでしょう。
その中でも、家具配置や採寸にある程度の時間を使いたいところです。
だからこそ、それ以外の項目は『見る順番』を決めて効率よく確認するのがおすすめです。
不動産営業が物件を確認するときも、慣れている人ほど毎回ほぼ同じ順番で見ていきます。
理由はシンプルで、その方が確認漏れが起きにくいからです。
内見でも、
- 建物全体
- 共用部
- 室内
- 水回り
- 周辺環境
という順番で見ていくと、スムーズに確認できます。
建物に入る前に確認したいポイント
現地に着いたら、まずは建物全体をざっと見てみましょう。
建物の外まわりは、管理会社や大家さんの管理意識が表れやすい部分です。
それに、ゴミ置場や駐輪場を見れば、入居者がどのように共用部分を使っているかも何となく見えてきます。
広い敷地だと少し面倒に感じるかもしれませんが、時間をかける必要はありません。
一周するくらいの感覚で確認しておくだけでも、建物全体の雰囲気はつかみやすくなります。
1.ゴミ置場
重要度:★★☆|見落とし度:★★☆
まず確認したいのがゴミ置場です。
チェックしたいのは、
- 建物内にあるか
- ボックスタイプかネットタイプか
- 清掃されているか
- ゴミが散乱していないか
といった点です。
敷地内に専用のゴミ置場がなく、地域の共同集積所を利用する物件もあります。
その場合、建物から少し離れていることもあるため、場所を確認しておきましょう。
ゴミ出しの曜日や時間帯が決められていることが一般的ですが、物件によっては24時間ゴミ出し可能なケースもあります。
生活時間が不規則な人にとっては、意外と大きなメリットです。
2.駐輪スペース
重要度:★★☆|見落とし度:★★☆
自転車を使う人は、駐輪場も必ず確認しておきましょう。
物件によって、
- 部屋ごとに置く場所が指定されている
- 空いている場所を自由に利用する
- 駐輪ステッカーが必要
- そもそも専用駐輪場がない
などルールが異なります。
また、「敷地内の空いているスペースに置いてください」という物件もあります。ちなみに、駐輪スペースがないからといって、室内への持ち込みは禁止している事もあるので事前に確認は必要です。
3.管理会社の看板や掲示
重要度:★☆☆|見落とし度:★★★
管理会社が建物管理をしている場合、エントランスや外壁などに管理会社の連絡先が掲示されていることがあります。
気になる場合は、管理会社名を控えておき、あとから管理についての投稿情報など調べておくのも一つの方法です。ただし、インターネット上の口コミは内容や投稿者によって評価が大きく変わるため、あくまで参考程度に見るのがおすすめです。
一方、管理会社の表示がない、または複数の不動産会社の募集看板が付いているようなことがあります。その場合は、大家さん自身が管理しているケースが考えられます。
管理形態が気になる場合は、不動産会社へ聞いてみましょう。
共用部で確認したいポイント
続いて、建物の共用部分を確認します。
共用部も、管理状態が分かりやすい場所です。
特に、
- 清掃状態
- 私物の放置
- 掲示物
- 照明
などを見ると、その建物が普段どのように管理されているかが分かります。
4.郵便受け(集合ポスト)
重要度:★☆☆|見落とし度:★★☆
郵便受けの場所を確認しておきましょう。
屋外に設置されている場合は、雨風の影響を受けやすいことがあります。
また、
- チラシが大量にたまっている
- 壊れたポストが放置されている
といった状況も、共用部の管理状態を見る一つの材料になります。
5.宅配ボックス
重要度:★★☆|見落とし度:★★☆
ネット通販をよく利用する人にとって、宅配ボックスは便利な設備です。
ただし、「宅配ボックスあり」だけで判断するのではなく、
- 総戸数に対して何個あるか
- 大きさは十分か
- 使用中のボックスが多すぎないか
なども確認しておきましょう。
戸数に対してボックス数が少ない物件では、タイミングによって使えないことがよくあります。
最近では、オートロック付き物件でも、置き配に対応したサービスを導入しているケースがあります。
宅配をよく使う人は、不動産会社に確認してみるのもよいでしょう。
6.共用廊下・階段・エレベーター
重要度:★★★|見落とし度:★★☆
まずは清掃状態をざっと見ます。
床だけを見るのではなく、
- 手すり
- 階段
- 壁
- 照明
- エレベーター内
なども意識して見てみましょう。
清掃が行き届いているかどうかは、建物管理の良し悪しを判断する材料の一つになるからです。
また、大きな家具を搬入する予定がある場合は、
- 廊下の幅
- 階段の幅
- 階段の折り返し
- 天井の高さ
- エレベーターの大きさ
にも注意が必要です。
特に階段は、手すりによって実際に通れる幅が狭くなっている場合があります。
室内で確認したいポイント
室内に入ったら、間取りや家具配置だけでなく、図面情報では分からないポイントも確認していきます。
7.風通し
重要度:★★★|見落とし度:★★★
できれば窓を開けて、風がどのように抜けるか確認してみましょう。
特に窓が一方向にしかない部屋では、空気がこもりやすいことがあります。
換気設備の有無とあわせて、窓を開けたときの空気の流れも見ておくとよいでしょう。
8.網戸の建付け
重要度:★★☆|見落とし度:★★★
意外と見落とされやすいのが網戸です。
- スムーズに動くか
- きちんと閉まるか
- 隙間ができていないか
- 破れていないか
を確認します。
明らかな破れや不具合がある場合は、入居前に修理してもらうように不動産会社へ確認しましょう。
9.騒音レベル
重要度:★★★|見落とし度:★★☆
窓を開けた状態だけでなく、窓を完全に閉めた状態でも音を確認します。
道路や電車の音が気になる物件でも、窓を閉めると想像以上に静かな場合があります。
逆に、外ではそれほど気にならなかった音が、室内では響いて聞こえることもあります。
数十秒でもよいので、会話をやめて静かに確認してみるのがおすすめです。
10.スマホの電波
重要度:★★★|見落とし度:★★★
スマートフォンの電波状況も確認しておきましょう。
建物の構造や部屋の位置によっては、室内の一部で電波が弱くなることがあります。
特に、
- 部屋の奥
- トイレ
- 浴室付近
なども確認してみると安心です。
普段から自宅でスマホをよく使う人ほど、忘れずチェックしておきたいポイントです。
11.隣の部屋のベランダ
重要度:★★☆|見落とし度:★★★
ベランダに出られる場合は、無理のない範囲で隣戸の様子も確認してみましょう。
大量の私物やゴミなどが置かれている場合、臭いや虫などが気になる可能性があります。
ただし、当然ながら隣人のプライバシーに配慮する必要があります。
身を乗り出したり覗き込んだりするのではなく、自分のベランダから自然に見える範囲だけで十分です。
12.床の傾きや違和感
重要度:★★★|見落とし度:★★★
特に築年数の経った木造のアパートでは、床を歩いたときの感覚も確認してみましょう。
専門的な判断をする必要はありません。
- 歩いたときに違和感がないか
- 床が大きく沈まないか
- 扉が不自然に勝手に動かないか
といった程度で構いません。
ただし、少しでも気になる場合は、その場で不動産会社へ確認しておきましょう。
13.エアコンの位置
重要度:★★☆|見落とし度:★★★
エアコンは「付いているか」だけでなく、設置位置も見ておきます。
特に、
- ロフト付き
- 細長い間取り
- LDKが広い
といった部屋では、設置位置によって空気の届き方が変わります。
また、高い位置に設置されている場合は、フィルター掃除がしやすいかも確認しておくとよいでしょう。
家具を置いたあとに風が遮られないかまでイメージできると理想です。
ちなみに、内見時に「どこを測ればいいのか」については、別記事で詳しくまとめています。
→ 関連記事:内見で採寸しておくポイント完全ガイド
水回りで確認したいポイント
水回りは、入居後の快適さに直結する場所です。
見た目だけでなく、実際に設備を動かせる範囲で確認してみましょう。
14.換気扇
重要度:★★★|見落とし度:★★★
キッチン・浴室・トイレなどの換気扇を確認します。
スイッチを入れられる状態(通電状態)であれば、
- 音が異常に大きくないか
- 実際に作動しているか
- 吸い込みが弱すぎないか
を見ておきましょう。
特に湿気がこもりやすい浴室やトイレでは、換気設備の状態はとても重要です。
15.キッチン・洗面台下の臭い
重要度:★★☆|見落とし度:★★★
シンク下や洗面台下の収納扉も一度開けてみましょう。
排水管まわりに隙間があったり、長期間空室だったりすると、下水のような臭いを感じることがあります。
多少の臭いであれば排水トラップの水が蒸発しているだけの場合もあります。ただし、強い臭いが続いているようなら不動産会社へ確認しておくと安心です。
16.シャワーの水圧
重要度:★★★|見落とし度:★★☆
可能であれば、シャワーの水圧も確認しておきましょう。
水圧は建物の給水方式や階数などの影響を受けるため、入居後に気になっても簡単には改善できない場合が多いです。
シャワーの水圧を重視する人は、忘れずチェックしておきたいポイントです。
ただし、空室では水道が止まっている場合もあります。
また、勝手に水を出さず、必ず不動産会社へ確認してから試しましょう。
周辺環境で確認したいポイント
部屋そのものが気に入ったら、最後は周辺環境も確認します。
スーパーやコンビニ、駅までの距離などはGoogleマップでも確認できます。
内見時にこそ見ておきたいのは、むしろ物件のすぐ周辺にどんな環境要因があるかです。
完全に予測することはできませんが、入居後に気になりそうなリスクをある程度把握しておくことはできます。
17.騒音リスク
重要度:★★★|見落とし度:★★★
騒音というと、
- 幹線道路
- 線路
- 高速道路
などを思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし実際には、それ以外の音が気になることもあります。
例えば、
- 運送会社や配送センター
- 飲食店
- コンビニ
- 学校や保育園
- 駐車場
- 工場や作業場
などです。
「住宅街だから静か」とは限りません。
周辺を少し見渡して、音が発生しそうな施設がないか確認しておきましょう。
18.汚れリスク
重要度:★★☆|見落とし度:★★★
周辺環境によっては、ベランダや洗濯物が汚れやすい場合があります。
例えば、
- 畑や空き地からの土埃
- 交通量の多い道路からの粉じん
- 工事現場からの砂埃
などです。
もちろん、これらがあるから住んではいけないという話ではありません。
外干しをよくする人などは、気になる要素がないか見ておくとよいでしょう。
19.においリスク
重要度:★★☆|見落とし度:★★★
意外と見落とされやすいのが「におい」です。
例えば、
- ラーメン店
- 焼肉店
- 焼き鳥店
- ゴミ置場
- 工場
などが近くにある場合、風向きによっては臭いが部屋まで届くことがあります。
入居してから洗濯物への臭い移りが気になる人もいるでしょう。
可能であれば、ベランダや窓際で少し外の空気も確認してみてください。
20.虫リスク
重要度:★★☆|見落とし度:★★★
虫が苦手な人は、周辺環境も重要です。
特に、
- 木の多い公園
- 川
- 水路
- 草地
- 畑
などが近いと、季節によって虫が増える可能性があります。
自然が多いこと自体は大きなメリットでもありますが、虫が苦手な人にとってはデメリットになる場合もあります。
自分の生活スタイルに合わせて判断しましょう。
まとめ|「全部クリア」より、自分が許容できるかで考える
今回紹介した20項目は、ひとつでも当てはまったら「その物件はやめた方がいい」という話ではありません。
もちろん、すべて理想通りであれば最高です。
ただ現実の部屋探しでは、
- 家賃
- エリア
- 駅距離
- 広さ
- 築年数
- 設備
など複数の条件を同時に満たす必要があります。
正直な所、すべてが完璧な物件を探すのは、かなり難しいものです。
大切なのは、
「どの条件は絶対に譲れないのか」
「どこまでなら妥協できるのか」
を自分なりに整理することです。
その判断材料を増やすために、内見があります。
また、通常の内見だけでは判断しにくいこともあります。
例えば、
- 隣人の生活音
- 夜間の周辺環境
- 将来的な住環境の変化
です。
隣人が内見時に不在であれば生活音は確認できませんし、昼間の内見だけでは夜道の暗さや街の雰囲気までは分かりません。
また、現在は目の前が月極駐車場でも、将来そこにマンションやアパートが建つ可能性もあります。
部屋探しでは、すべてのリスクをなくすことはできません。
だからこそ、内見時に確認できることは確認しておき、そのうえで「自分にとって許容できる物件か」を判断することが大切になります。
採寸や家具配置については、別記事で詳しく解説しています。
→ 関連記事:内見で採寸しておくポイント完全ガイド
また、内見当日に持っていくものや事前準備についてはこちらにまとめています。
→ 関連記事:内見当日の持ち物チェックリスト|失敗しないための事前準備ガイド
